イタリア-ミラノ在住のフリーライター "佐武 辰之佑"のブログ
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プロフィール

佐武 辰之佑(さたけ たつのすけ)

Author:佐武 辰之佑(さたけ たつのすけ)
1976年生まれ。富山県高岡市出身。小説家、フリーライター、フォトグラファー。
大学卒業後、各国を放浪しながら執筆活動を続ける。オーストラリアをバイクで4万キロの旅をし、その後アジア、ヨーロッパを回る。2007年よりミラノ在住。イタリア・ミラノのガイド・観光情報サイト「アーモミラノ」責任者。取材、コーディネート、通訳兼アテンドなども承っています。

公式HP
アーモミラノ(ミラノ情報サイト)
本ブログ、サイトともフリーリンクです。



E-mail:tatsunon314159@yahoo.co.jp
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バローロのワイナリー、エリオ・アルターレ「Elio Altare」とバローロボーイズについて

 今回はバローロの有名ワイナリーエリオアルターレ(Elio Altare)の紹介。知名度の高いワイナリーなので、イタリアワイン通の人は知っている方も多いのではないでしょうか。
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ミラノの夏はフランチャコルタ
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 連日気が滅入るニュースが流れていますが、北イタリアでもしっかりと夏が訪れています。さすがにハイシーズンとあってか、ミラノ大聖堂前は炎天下の元入場を待つ長蛇の列ができていました。

 ここ数年夏になるとミラノではフランチャコルタという発砲系の白ワインが人気で、大袈裟にいえばこの暑い時期は猫も杓子もフランチャコルタという雰囲気です。イタリアでは発砲系の白ワインは一般的にスプマンテと呼ばれたりしますが、フランチャコルタはシャンパーニュ地方で作られる発砲系の白ワインをシャンパンと呼ぶように、フランチャコルタという地域で作られた発砲系の白ワインのことを意味し地方の名前がそのままワインの名前になっています。
 イタリアではヴェネト地域で作られるプロセッコ、エミリアロマーニャ地域のランブルスコなど、地域ごとで作られるワインに独特の名称をもったものがありますが、フランチャコルタもその一種です。
 それではなぜミラノではフランチャコルタが最近人気なのかと言えば、去年のエキスポの際に独自のブースを構えたり、街に大きな看板が掲げられたりと広告にも力を入れていることもあると思いますが、基本的にはミラノから距離が近いということが挙げられると思います。
 フランチャコルタという地域はミラノから東に向かって車で1時間ほど、イセオ湖という湖の南部に位置します。4,50年前にはワイナリーも20件ほどしかなかったとのことですが、知名度、そしてワインを作る上質な地形から近年どんどんと数が増し、最近では100件ほどのワイナリーが存在する新しいワイナリー地域になっています。おそらくはイタリアワインを知る人はフランチャコルタという名前も聞いたことがあるかと思いますが、年間100万本を超える3大フランチャコルタワイナリーとしては、
 ベラビスタ http://www.bellavistawine.it/
 カデルボスコ http://www.cadelbosco.com/it/ca-del-bosco/ispirazione/
 カヴァッレッリ http://www.cavalleri.it/IT
 などが有名です。フランチャコルタの特徴としてはまずコストパフォーマンスが高いということが挙げられます。スーパーやエノテカ(ワインを売るお店、バーなど)でもフランチャコルタは10ユーロを切るものはほとんどなく、スプマンテなどよりも一般的には泡立ちがきめ細かく、香りたかく、それでいて料理とも相性が良いというイメージがあります。それでも高級ラインのベラビスタのものでもお店で買えば40ユーロはしないので、まあ、今夜はせっかくだからフランチャコルタにして、甘美な夏の一夜でも過ごそうか、というときに絶好のアイテム、という感じでしょうか。

 先日は中堅のワイナリーVilla Franciacortaというところを訪れました。
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 こちらは年間30万本のワインを製造するとのことでフランチャコルタでも中堅のワイナリーです。
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 美しい泡立ちの年代ごとのフランチャコルタがテイスティングできたのが印象的でした。

 他にもSan Cristoforoというワイナリーを訪問。
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 こちらのワイナリーはそれほど規模が大きくないのですが、日本にも出荷しているとのことで日本食などにも相性がよさそうな印象を受けました。
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 チェレステさんというオーナーの娘さんが丁寧にワインの説明をしてくれ、家庭的なワイナリーならではのアットホームなおもてなしをしていただきました。
 
 個人的にはフランスと言えばシャンパン、スペインと言えばカバ、イタリアと言えばフランチャコルタという夏の発砲系の白ワインを代表する風物詩になるよう願っています。
 とりあえずまだまだ暑い日が続きますが、皆様良い夏をお過ごしください!

イタリア・バルバレスコのワイナリー(TENUTE CISA ASINARI DEI MARCHESI DI GRESY)

ピエモンテ州・バルバレスコのワイナリー「TENUTE CISA ASINARI DEI MARCHESI DI GRESY」です。まあ、ずいぶんと長い名前です。
 Marchesi di Gresy一家は1797年からこの地に根を下ろしているとのことで、どうやら元々地元の名家だったようですね。こちらのGresy一家は長年ワインづくりをしていたようですが、本格的にワイン造りに専念し始めたのは1973年とのこと。
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 現在2013年では16種類の白・赤ワインを製造していて他にグラッパと呼べばれるブドウの皮を使用した蒸留酒も製造しています。壁には数々の受賞ワインが飾られていますが、ミラノのエノテカなどでも良く見かけるバルバレスコのワイナリーでは有名なメーカーの一つです。
 ワイナリーの規模を判断するひとつの材料として年間の製造ボトルの本数があげられますが、このMarchesi di Gresyは約13万本とのこと。僕のイメージでは年間10万本を超えるところはすでに大きい「企業」というような感じがします。こちらのメーカーの商品は一部日本にも輸出しているとのことで、日本のイタリアワイン通の方は知っている人もいるかもしれませんね。
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 こちらはオーク材の大樽。主に「バルバレスコ」となるネッビオーロが眠っています。樽の上にちょこんと乗っているガラスは樽のワインレベルを測るものです。樽は常に寝かせているワインで満たしておかないといけないので、蒸発する分を足してゆくわけです。
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 こちらの大樽のメーカーです。どこの国のオーク樽を使うかは会社によって違いますが、こちらではスロヴェニア産のものでした。
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 樽に寝かせる前に一般的にはステンレス樽で発酵させるのが一般的ですがこちらでは写真左側の珍しいコンクリートの樽を使用していました。
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 こちらは地下のカンティーナ。どーんと開けたスペースに小樽が並んでいます。中にはフランスバリック、フランス産のものがやはり多かったですが、中に入っているワインは白、赤とさまざまです。あとカンティーナによってはわざと壁の部分をむき出しにし、その土地の土の匂いをワインに移させているという場合もあります。これがまたそれぞれ匂いと味の違ったワインを作り出す秘訣なんですね。
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 こちらのワイナリーでは星をもつレストランで働く有名なシェフ達を集めて試飲、試食会など開かれるとのことで立派なパーティ会場もありました。
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 こちらは裏側のワイン畑。この時はブドウの収穫前で空に「ドン、ドン」というすさまじい音が鳴っていました。あれはなんだろうと思っていましたが、こちらでは曇り空になると市が率先して大砲の空砲を撃つのだとか。気温差が激しいワイン地域では雹などが降りブドウを痛めることがあるので…、と言っていましたがさすがにこれにはびっくりしました。確かに職人の情熱が流されてはたまったものではありませんが、そこまでするんですね。
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 さていよいよテイスティングです。こちらを訪問したときは案内してくれた方にも恵まれたのか、とても感じが良くワインもとてもおいしくいただけました。最初に頂いた白3本です。こちらではソーヴィニオンやシャルドネの白などを製造していますが、一番手前の二つをブレンドした緑のラベル「Villa Giulia」というのがおいしかったので購入しました。確か10ユーロぐらいだったと思います。
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 MARCHESI DI GRESYでは自社製のオリジナルコルクを主に白ワインに使用しているのが特徴的です。こうしたコルクはなかなか見かけませんが、確かにここの白ワインはとても口当たりがやさしく値段の割にとてもレベルが高いと思いました。実はここの白をミラノのエノテカで飲んでおいしかったのがこちらを訪問したきっかけです。
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 しかしやはりメインはバルバレスコ。写真のものはヴィンテージですが、この時は3種類のバルバレスコをテイスティングさせていただきました。名前が違うのはそれぞれ取れたブドウ畑の名前が付いていて、それぞれのポテンシャルに合わせてワインを寝かせる時期なども変わってくるからです。もちろん高いほうがおいしい、というのはやはり変わりません。
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 結局この日は10本のワインをテイスティングさせてもらいました。ワインもおいしく、人もとても感じがよく、お勧めの訪問ワイナリーです。

TENUTE CISA ASINARI DEI MARCHESI DI GRESY
住所:Strada della Stazione 21 12050 Barbaresco(CN)
Tel:0173635221
HP:www.marchesidigresy.com

バローロ近辺のおすすめレストラン「Trattoria della Posta」

 今回はワインの話ではありませんが、バローロ方面のお勧めレストランの紹介です。
 イタリア・ピエモンテ州はフランスに近いこともあってか大味なイタリアンに繊細なフレンチの印象が交じってとても料理の質が高いように思えます。ミラノに比べると全体的に価格は安く、こんなお店がミラノにあれば大繁盛だろうなと思うレストランがいくつもありますが、やはり田舎だからなのでしょうね。
 今回はあるワイナリーの人に教えてもらった地元の名店「Trattoria della Posta」。こちらは親子3代続く地元では隠れ家的名店レストランで、ピエモンテのレストランは何件か行ったことがありますが味付けの品の良さといい頭ひとつ、ふたつぐらい抜けてお勧めです。以下はピエモンテ伝統料理のランチメニュー45ユーロ(席料、サービス料込)。暖かい時はガーデンを利用して外で食事しますが、店内の席もありました。
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 こちらは家庭菜園の野菜を利用したサラダ。小さいですが、ん、と食べた瞬間にこのレストランの品格の高さがうかがえる一品でした。
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 ピエモンテ州というとやはり肉類が多いです。こちらは生肉でしたが、まわりにちりばめられたマスタード、胡椒、チーズなどと合わせながら頂きます。なんとも独創的でおいしい一品でした。
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 ローストビーフです。イタリアンは主に塩コショウとオリーブオイルなどシンプルな味付けで食べるのが一般的ですが、ここではマスタードを使用したソースのようなものが小さなお花と一緒に付けくわえられていました。こうした飾り付けもセンスの良さが伺えます。
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 僕がこのお店で一番気に入った料理。こうして玉ねぎの形のままでてきますが、中にはソーセジ(サルシッチャ)、ポテトとクリームソースをあえたものが詰まっています。少し食べにくいということはありますが、こちらの味付けもなんとも上品。それにこうした独創的な一品はミラノでは見たことがありませんでした。
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 こちらはタヤリン(tajarin)というピエモンテ地方の代表的なパスタです。このタヤリンというパスタには卵が入っているのが特徴ですが、僕は伸びたカップラーメンの麺という印象をいつも受けてしまいます…。まあ、味は好みですからね。とりあえずこのパスタ・ラグーにはうさぎの肉が使われていましたが、こちらの地方ではうさぎを良く食べることでも有名です。
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 最後のメインは子牛のバローロ煮込み。
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 こちらはデザートの「パンナコッタ」、これの前に親指ほどの大きさの一口ティラミスもでてきました。このお店はサービスも非常にいいですし、こうした田舎でスローフードを楽しむのは本当に贅沢なひと時。円安も進んでいるので45ユーロというと、ちょっと、という感じになるかもしれませんがこの味なら大満足かと思います。ミラノでこの質のレストランだったら最低でも倍以上の値段になるでしょう。
 サービスはゆっくりめで食事時間は最低2時間ほどかかります。こちらの地方にいったらぜひ足を運んでみてください。
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Trattoria della posta
住所:Loc.s.anna 87 Monforte D`alba(CUNEO)
毎週木曜 金曜昼 休み
Tel:017378120 cell:3337537950
HP:www.trattoriadellaposta.it

イタリア・バルバレスコのワイナリー ガヤ(GAYA) 4 
地下室のカンティーナに辿りつくとガブリエッレが説明を始めた。薄暗い地下室には僅かにカビ臭い古い歴史の匂いがした。
「まずこの二つの大きな樽がありますが…」たしかにそこには大きなオークの樽があった。「トラットリアだった頃のガヤ家のカンティーナはここまでしかありませんでした。たった樽二つ分です。そこからガヤの伝説が始まったわけですが、現在のガヤはかつてのバルバレスコの領主の城を買い取り、その地下をカンティーナとして利用しています。近代ワインづくりのカンティーナではすべて機械まかせ、空調が温度や湿度を管理するのが一般的ですが、ガヤは現在でも空調などは一切使用していません。そしてポンプなども機械を使わず、できるだけ昔のままの手作業で行うのがガヤのモットーです」と誇らしげにガブリエッレは言った。

 確かにこれはどうやっても真似できないだろうなと僕は思った。こうなってはイタリア最高級ワイン造りの秘密もなにもあったものではない。ガンバと呼ばれるピエモンテの有名なオーク樽メーカー、オーストリア産のオーク樽、フランス製のバリックと呼ばれる小樽、それらが延々と並ぶ樽を見てもそれがガヤのワインづくりの秘密ではないと思った。このバルバレスコという土地、そして土壌とそして空調を一切使わずにワインを作れることこそがガヤがガヤであるための秘訣なのだ。
年間約30万本というピエモンテ地域のワイナリーの中でも圧倒的な量のワインを製造するガヤのカンティーナはさすがに延々と続いていた。角を曲がればまた大樽が並び、その間を縫うようにして手引きのリフトに載せた小樽を大切な魂を運ぶようにして職人が行き交う。カンティーナはよく清掃されているようで所々の床が乾き切らないまま濡れていて何度も足を滑らせそうになった。どこをどう歩いたのかもわからないまま階段を登ると地上に出た。
「さあ、ここからは写真を撮ってもいいですよ」と、嬉しそうにガブリエッレが言った。ガブリエッレは薄暗いガヤのワイン造りの聖地とも呼べるようなカンティーナを振り返って雄弁に語った。偉大なアンジェロ・ガヤはネッビオーロに少しバルベーラを入れることを発案し近代イタリアワインの改革を行っていったのです、そしてガヤのワインは世界への階段を上ってゆくことになりました、などなど、いろいろな説明をしてくれた。
 彼は手慣れた有能な案内役であったが、ただ薄暗いカンティーナではそれら貴重な情報も左から右に抜けていった。ただいかに上質のワインを作るか、それだけがワイン造りの神髄と情熱であり、ガヤの秘密のようなものを僕は嗅ぎ獲ることはできなかった。それでも裏も表もなく、ただ良いものを作るというプライドを保つことだけが本当に良いワインを作る秘訣なのかもしれない。
 古い空気と闇を抜けた僕は再びバルバレスコの太陽がもたらす恵みの光の中で漠然とそう思った。